外国為替の仕組みを理解する

外国為替の役割

世界にはたくさんの国があり、それぞれの国には自国で流通させるための通貨があります。

日本の通貨は、言うまでもなく円です。
日本国内でなら円さえあればお金として使うことが出来ますが、海外に行くとそうはいきません。日本の円は国際的に信用がある通貨でもあるので、国によっては円をそのまま使用出来ることもありますが、原則として外国でお金を使う場合や、外国の会社や個人に対して支払いをするためには、その国の通貨で支払うことが基本です。

しかし、その国の事情などにより、相手が受け取りたがらない通貨というものもあります。その場合は、米国ドルを決済通貨として使用することがあります。米国に関係のない商取引であってもドルを使用することは当たり前のようにあります。これは世界最大の経済大国である米国に対する世界的な信頼があるので、まさかドルが突然紙切れになることはないだろうという信用から来るものです。米国はもちろん、米国以外であっても貿易など国際的な商取引に際しては、その国の通貨ではなく決済にはドルが用いられます。

この場合、決済のためにドルを用意しなければならず、それを調達するためにあるのが、外国為替市場です。例えば日本の企業が外国から何かを輸入する場合、その代金支払いのために外国為替市場で円をドルに両替します。つまり、円売りドル買いという取引を行うわけです。

為替市場はどんな国にも関わりがある

日本は資本主義経済の国なので、このように市場で決済通貨を調達するということは当然のように行われています。しかし、世界には資本主義ではない国もたくさんあります。

資本主義国ではなくても、このような国が外国と何らかの商取引をする場合には、外国為替市場で決済通貨を調達するしかありません。このように、外国為替というのは資本主義国以外でも避けて通ることは出来ないのです。株式や商品など、世界にはあらゆる市場がありますが、このように世界中の商取引に欠かすことの出来ない外国為替市場は、世界最大の市場なのです。

但し、市場と言っても外国為替取引所が設置されているわけではありません。世界中に外国為替を取り扱っている取引会社があり、通貨の売買はこれらの業者で行われています。

ニュースで円相場の最新情報が報道される際に、大きな円卓を囲んでトレーダーが大声でやり取りをしている光景を目にすることがあります。今では全てコンピューターで処理されるため、このような光景は見られなくなりましたが、かつて東京にある外国為替取引の会社で実際に行われていた売買の光景です。

通貨のストレートペアとクロスペア

通貨の覇権争い

外国為替は、お金でお金を買うという取引を行います。

現在まで長きにわたって世界の経済はドル基軸というシステムで動いてきました。これは世界中の国際的な商取引において、決済にドルを使用するというものです。米国の圧倒的な経済力を背景にしたもので、ドルで資産を持っていれば安心という考え方も成立してきました。

しかし、ドルが唯一の基軸通貨というシステムに大きな風穴を開けた通貨があります。それはEUの統一通貨、ユーロです。

EU諸国が政治と経済の両面で安定しているという信用により、ユーロは徐々に世界的な影響力を強めています。米国に敵対的な国々では先行してユーロを決済通貨として利用する動きが広がったため、世界的なユーロ買いが進んだ時期がありました。サブプライムショックの影響で米国の経済に不安がつきまとう中、ドルだけで資産を持っていることには不安があるということで、そのリスクヘッジとしてもユーロが好まれました。この動きにより、2005年頃から世界的なユーロ高が進んだことは記憶に新しいと思います。

米国経済の先行き不安から、ユーロへのシフトが進みユーロの地位が向上する中、さらに世界的な通貨覇権を目指している通貨があります。それは中国の人民元です。

ご存知のように中国の急速な経済発展は世界経済の中で存在感を増してきており、中国のGDPは世界で3位に躍り出ようとしています。

世界は外国為替で動いている

為替を中心に動く世界経済

外国為替は世界最大の市場として、常に経済に大きな影響を及ぼし続けています。
例えば2009年は日本経済にとって試練の年となり、日本を代表する大企業が軒並み巨額の赤字を計上しました。もちろん、これらは海外の不況が深刻化したことで輸出産業の売り上げが伸びなかったことが最大の原因です。しかし、ここにはもう一つ大きな原因がありました。それは外国為替です。

世界同時不況が進行する中、欧米に比べるとサブプライムショックの影響が限定的と言われた円にリスクを回避した資金が大量に流れ込み、円の独歩高が進みました。円高が進行すると輸出産業の収益は悪化し、競争力を失うので、巨額赤字が続出したわけです。

もし、世界同時不況が進んだとしても円相場が大幅な円安に進んでいれば、不況も問題にならなかったかも知れません。

円高と円安を"しっかり"と理解する

円高とは

「円が外国為替市場において値動きしている」というのは円安と円高の2パターンしかありません。円が外国通貨に対して安いのか高いのかで円安や円高と呼ばれます。
一般的にはドルに対してどうのなのかということで、円安や円高と表現されますが、たいていの場合はドルに対して円が高い場合は他の主要通貨に対しても高いのが普通です。

それでは、円高と円安、それぞれの局面で日本の経済はどうなるのでしょうか。まずは円高から見てみましょう。

「一般的に1ドルが100円を割り込むと円高が進んでいる」として騒がしくなります。円高になるということは、世界的に見て日本の円が強くなっている状態です。メリットとしては輸入品の価格が安くなり、海外旅行などのコストも安くなります。少ない日本円で多くの外国製品が買えるので、これは当然ですね。2008年の後半から円高が急激に進行しましたが、それと同時に韓国ウォンが急落しました。円が高くなり、ウォンが安くなる。これは日本にとっては韓国製品を安く買えるチャンスというわけで、この時期から韓国まで買い物旅行に出かける日本人訪問者が急増し、社会現象になりました。

一方で円高は輸出品の価格を高くしてしまうため、世界的に見ると競争力を失います。日本製品が売れなくなり、輸出産業で支えられている日本経済がダメージを受けるというわけです。