外貨の特徴は3つに分けることができる

三大メジャーカレンシー

世界中にあるそれぞれの国には、それぞれの特徴があります。それは当然、その国の通貨にも反映されます。但し、それはその国の国民性や文化という意味ではなく、その国の経済的な特徴に影響を受けます。

まず、通貨の流通量という観点で見てみると、世界には三大メジャーカレンシーと呼ばれる通貨があります。これは、経済規模が大きいことから自ずと決済などで流通量が多くなる通貨のことです。基軸通貨であるドルはもちろん、ユーロと円がこれに続きます。この3通貨間で資金が行ったり来たりしていることが改めて証明されたのが、2008年後半からの円高トレンドです。

サブプライムショックやリーマンショックによって欧米の経済に不安が広がり、ドルとユーロが大きく売られたのに対し、欧米ほどダメージを受けていない日本に資金が逃避した結果、円高となりました。ドルとユーロがダメなら円、という図式が改めて見られたわけです。

コモディティ通貨

世界には豊富な資源を輸出することによって経済を成り立たせている国がたくさんあります。これらの資源国の通貨はコモディティ通貨と呼ばれ、資源の需要が高まるとコモディティ通貨も買いが集まるという特徴があります。

資源というのは石油や鉱物などに限らず、水産資源や農作物なども含まれます。2008年に起こった世界的な原油高をキッカケとしてあらゆる資源が高くなりましたが、この時にはコモディティ通貨が敏感に反応して買われていました。

エマージング通貨

新興経済国の通貨のことは、エマージング通貨と呼ばれます。新興経済国と言うとBRICs諸国を連想しますが、世界にはこれらの4ヵ国以外にも経済発展中の国はあります。外貨預金やFXなどでエマージング通貨として知られているのは、南アフリカランド、トルコリラ、韓国ウォンなどです。

それでは、外貨投資によく登場する通貨について、次のページからそれぞれの通貨の特徴を詳しく解説していきたいと思います。この特徴については外貨預金だけでなく、FX投資にも通用します。

米ドル

外貨の代名詞

「外貨と言えばドル」と言っても過言ではないほどメジャーな通貨なのは米ドルです。
言うまでもなくアメリカ合衆国の通貨ですが、世界中で決済に使用されている基軸通貨でもあります。サブプライムショックやリーマンショックなどで米国の経済に不安材料が多くなっています。さらにクライスラーやGMなど自動車ビッグ3の破綻説もくすぶっていることは、基軸通貨としてのドルの地位を大きく揺さぶることはあると思います。

しかし、それに変わる通貨がユーロや円くらいしか見当たらない現状、EU諸国や日本の不安度が米国とそれほど変わらないことを考えると、ドル基軸の流れに大きな変化は見られないでしょう。

有事のドル買い

外為市場には、「有事のドル買い」という言葉があります。
戦争やそれに近い事件が起きると、世界中の資産が安全な場所を求めてドル買いに走ることが、その原因だと言われています。しかし、同時多発テロやイラク戦争など、最近では米国が当事者になることが多いため、有事のドル買いが通用しなくなることが多くなりました。米国以外の国で地政学リスクが高まるようなことがあれば、この理論が復活することもあるかも知れません。

ドルの投資スタンス

投資家から見ると、日本において情報を最も多く得られる通貨であるのは間違いないので、そういう意味では投資向きです。但し、2009年現在、相次ぐ利下げの影響で金利がかなり低くなっており、預金金利だけで利益を確保するのは難しいでしょう。外貨預金での利益を考えるのであれば、短期ものへの投資を中心にして満期時に為替差益が出ていれば利益確定、そうでなければ引き続き短期ものに再投資して次のチャンスを狙うという投資スタイルが良いと思います。

世界で最も流通量の多い通貨ですので、外貨預金であれば手数料やTTSとTTBの差額、FXであればスプレッドが他の通貨に比べて小さいことがあります。このような要素は利益を上げるためには意外に重要なことなので、手数料という意味でも投資に有利な通貨です。

ユーロは"アンチドル"通貨

世界初の統合通貨

ユーロが他の通貨と決定的に違うことがあります。それは、単一の国家で採用されている通貨ではないということです。逆に、世界を見渡してもユーロのように複数の国で流通させることを前提に作られた統一通貨というのはありません。ユーロが導入される前には、現在のEU諸国となるドイツやフランスの通貨としてマルクやフランが外為市場で取引されていました。

ユーロはEUが政治的な統合を進める前に、先行して導入されました。その当時はバラバラに存在している国々で共通に使用できる通貨という程度の認識しかなく、外為市場での存在感もあまりなかったように思います。ユーロが導入される前に、ユーロを導入する予定になっている国の通貨を全てミックスした仮想通貨としてXEUという通貨があり、その値動きがウォッチされていましたから、実際の導入となっても目新しくはなかったのかも知れません。

アンチドル通貨

さて、EU諸国つまりヨーロッパ諸国の統一通貨であるユーロは、ヨーロッパ経済の影響を受けやすいと思うのが当然です。しかし、それ以上に大きな影響を及ぼす要素があります。それは米国の経済です。

ヨーロッパの通貨なのに米国に影響されるというのは理屈に合いませんが、そこにはユーロドルという通貨ペアが外為市場で取引されていることが関係しています。ユーロドルとはドルを売ってユーロを買う時に適用されるレートのことです。

ユーロはドルに次ぐ基軸通貨としての地位を固めつつあるので、「アンチドル通貨」とも呼ばれています。つまり、ドルに何らかの不安材料が生じればユーロドルでドル売りが起きるため、自動的にユーロ買いとなります。また、米国と敵対的な関係にある国などがドル基軸に反発してユーロを決済に利用することもあり、こちらは言葉通り「アンチドル」というわけで、中東の産油国などに見られます。

ドルの影響を受けやすいというのは、逆に考えるとドルの情勢を見ていれば値動きをつかみやすいということでもあります。情報量も多く、ドルに比べると若干高金利であることから、無難な外貨預金の預金先としてポートフォリオに組み入れる価値はあります。

豪ドル、NZドルは高金利通貨

オージーとキウイは人気者

オセアニアの2大先進国、オーストラリアとニュージーランドの通貨が豪ドルとNZドルです。外為ディーラーの間ではそれぞれ「オージー」「キウイ」という愛称で呼ばれているため、FXの世界でも同様にそのように呼ばれることもあります。

オーストラリアとニュージーランドは政治・経済の両面で非常に関係が密接で、市場もこの両国を同一の経済圏として見なしています。
対円や対ドルにおいて両通貨の値動きを見ていると、ほぼ同じように動いていることがほとんどで、さらに両通貨は高金利通貨として知られており、外貨預金でも高い金利が魅力なので人気の高い通貨でもあります。

なぜ高金利?

ところで、この両通貨はなぜ金利が高いのでしょうか。日本でもバブル当時は世界的にもトップクラスの高金利でした。当時の日本と同じように、オーストラリアとニュージーランドは長期にわたって空前の好景気が続いているため、金利が高くなっているのです。その好景気を支えているものは何かと言いますと、ずばり資源です。

オーストラリアは天然の資源が豊富で、さらに世界有数の農業国でもあるため、これらの商品が高騰したことによって好景気をもたらしています。ニュージーランドはこのオーストラリアの好景気につられる形で好景気となっていますが、ニュージーランド自身も世界有数の農業国として、経済の基盤が成立しています。

外貨預金向きな通貨ですが

この両国は政治的にも安定しており、投資先としてのリスク要因が少ないため、高金利も手伝って豪ドルとNZドルは外貨預金では最も高い人気を誇ります。投資スタンスとしては為替差益よりも高金利を享受した方が、メリットが大きく、長期にわたって預金運用することに適しています。

但し、かつて日本からの過剰な投資によってNZドルが高騰し、それを懸念したNZの金融当局から名指しで日本の投資家に向けて警告が発せられた後、市場介入が行われたことは記憶に新しく、外貨預金やFXでの買いポジション建てにあたっては、NZドルが対円で90円のレベルを超えていないことが条件となります。

英ポンドはギャンブル級の値動き

ポンドはかつての基軸通貨

現在では米国が世界最大の超大国として君臨していますが、その前は大英帝国が世界の覇権を握っている時代がありました。ポンドはその当時から英国で使用され続けている通貨ということもあり、非常に歴史のある通貨です。為替市場では「スターリング」とも呼ばれています。

大英帝国が君臨していた時代には、現在のドルのようにポンドは国際決済通貨として流通していました。その名残は各地に残っており、かつて英国の植民地であった国では、通貨単位にポンドという名称が用いられているところもあります。

ご存知のようにヨーロッパはEUによる統合が進んでおり、英国もEUに加盟しているのですが、統一通貨であるユーロについては英国だけが採用しませんでした。やはりポンドという自国通貨への思い入れが強く、国民もその道を選んだことが理由です。

値動きの荒さはギャンブル級

ポンドは対ドルではポンドドル、対円ではポンド円という通貨ペアで取引されています。

ポンドドル、ポンド円ともに非常に値動きの荒い通貨として知られています。かつての大英帝国とは違い、現在ではポンドそのものの取引量は少ないのですが、外為市場では存在感のある通貨ということで投機筋からの仕掛けが入りやすく、その度に大きな値動きを演じます。

2007年に起きた円安トレンドに時には、1ポンドが200円前後で推移していたものが一気に250円台まで上昇し、サブプライムショックやその後の円高トレンドによって110円台まで急落しました。対円で価値が半分以下になってしまうというのは隔世の感がありますが、この"やりすぎ感"がまさにポンドなので、これは決して珍しいことではありません。

分刻みでのデイトレードができるFXにおいて短期売買を繰り返すには妙味のある通貨と言えますが、外貨預金となると決してお勧めはできない通貨です。かつて外貨預金において高金利という唯一のメリットがあったポンドですが、2009年になるとそれも薄れてしまっています。

スイスフランのウリはその安定性

報酬はスイス銀行に

高いアルプスの山々に囲まれた国、スイス。美しい自然や時計、ヨーデルなどスイスから連想されるものはたくさんあります。その中に「銀行」というキーワードも必ずと言っていいほど登場します。ハードボイルド漫画の名作「ゴルゴ13」に登場する主人公、デューク東郷に殺人を依頼すると、その報酬の振込先として「スイス銀行」を指定されます。何気なく繰り返されているこのシーンですが、なぜ「スイス銀行」なのでしょう?

スイスは、ご存知のように永世中立国です。東西冷戦がない現在ではあまり注目されませんが、米国中心の西側にも旧ソ連中心の東側にもつかず、戦争には参加しないということを宣言したのがスイスです。古くから高い山々に囲まれていたスイスは外敵からの侵入を受けにくく、地形的な理由もあって現在まで戦争に加担しないというスタンスを貫いています。そのことが経済面で大きな信用となり、世界中の富豪がスイスの銀行に口座を開き、資産を保管するようになったのです。

スイスは銀行国

このような経緯で、銀行業はスイスの大きな産業になっています。時には犯罪利得や怪しい資金であっても絶対的な守秘義務を貫き、預金者を守るという姿勢は批判に晒されますが、それが逆に預金を集める信用力として機能しています。

スイスがこのような銀行業で世界に名を轟かせていることから、世界経済に何らかの不安材料があると、たちまち世界の資金は安全なスイスに逃げ込もうとします。有事のドル買いと言われたものの、米国が当事者となるような紛争があると、スイスフランに買いが集まり、急上昇します。スイスの金利は日本と大差がなく、金利収入といっても大した金額は期待できません。
しかし、スイスフランの場合は平時に預金をしておくと、何か国際的な緊張などでリスクが高まると急上昇するため、資産保全に役立ちます。逆にスイスフランが暴落するリスクというのは低いので、金利狙いというよりは資金の安全な保管という意味合いでの預金に適しています。

南アフリカランドは高金利だがハイリスク

エマージング通貨の象徴

新たに経済発展を続けている新興国の市場をエマージング市場と言います。そして、新興国の通貨のことをエマージング通貨と言います。

南アフリカ共和国も経済発展中の新興国に数えられる国で、ワールドカップサッカーの開催地という座も射止め、さらなる経済発展が期待されています。南アフリカの通貨はランドで、南アランドはエマージング通貨の象徴とも言える通貨です。

資源や産業の振興を背景にした経済発展により、南アフリカは好況に沸きました。ワールドカップサッカーが開催されることも好材料となり、外国からの投資を集め南アフリカにはバブル気味の好景気が訪れ、ランド建ての外貨預金は高金利商品となりました。単に高金利だけを狙うのであれば豪ドルやNZドルといったオセアニア通貨よりも魅力的な通貨と言えるでしょう。

エマージング通貨はハイリスク

高金利通貨への外貨預金は金利収入が見込めるので、大変魅力的です。しかし、南アフリカランドに代表されるようなエマージング通貨には、やはりリスクがあります。

経済発展やワールドカップサッカーの開催に沸く南アフリカですが、かつてはアパルトヘイトと言う悪法でも有名な国でした。アパルトヘイトとは人種隔離政策と言って白人と黒人を明確に分ける差別制度だったのですが、その名残は現在にも南ア社会に影を落としています。主要国の中では圧倒的に治安が悪く、凶悪犯罪や貧富格差の問題は今後の南ア経済にも大きな影響を与えるでしょう。

極端な話をすれば、人口の大多数を占める黒人が一斉に武装蜂起をして内戦勃発、なんていうことになると南ア経済は一瞬にして現在の地位を失い、南アフリカランド建ての外貨預金は紙切れ同然になってしまいます。

南アフリカランド以外にもエマージング通貨はありますが、どの国にも経済発展の裏に闇の部分を抱えており、高金利はそのリスクを含んだものであることを忘れないで下さい。

外貨預金としてお勧めかどうか、と聞かれると、答えは「お勧めできません」となります。南アフリカランドに目を向けるのであれば、オセアニア通貨の方がはるかに現実的です。

見慣れない国の通貨

各銀行が提示している外貨預金の金利一覧には色々な国が並んでいます。やはり預金額の大きい通貨については上の方に並んでいるのですが、下の方を見ると「こんな国も?」と思ってしまうような国の名前、そして通貨も並んでいます。
その中でもよく見かけるのがタイバーツ、トルコリラ、そして韓国ウォンです。

これらの国については、通貨の流通量こそ少ないものの外国為替市場で取引されていることに変わりはないので、銀行が商品を用意していれば外貨預金の口座を開くことは可能です。
いわゆるマイナーな通貨については、全ての国がそうであるということはありませんが、資金を海外から集めるために高金利政策を取っていることが多く、外貨預金においても高い金利が提示されています。確かにこれは魅力的に映るものですが、なぜ金利が高いのかということを考えておく必要があります。

タイバーツ、トルコリラ、韓国ウォンは投資対象としてアリ?

高金利の理由とは

経済とは常に需給のバランスによって成立しています。欲しいと思う人が多ければ売り手市場となり、欲しいと思う人が少ないものは買い手市場になります。

これを外国為替に置き換えると、資金を集めたいと思っているものの、なかなか集まらない国の通貨は金利を高くすることで資金を呼び込もうします。つまり買い手市場です。

ここで「資金を集める」というのは何を意味するのかと言いますと、国債です。これらの国が国債を買ってもらうために債券市場に売りに出したとして、やはりその国の経済に不安があって債権が償還されるかどうか不安があるという場合は、どうしても投資をためらいます。そこで、市場原理によって国債の金利は自然に上昇します。これを低金利に誘導する政策を取れば金利上昇は抑制されますが、そうでなければ国債金利は上昇し、外貨預金の金利も上昇します。

投資対象としてアリか?

結論としては、これらの通貨は流通量が少ないことで値動きが激しくなりやすく、短期筋などからの仕掛けが入ったり、その国の経済にとって大きなニュースがあると大きな値動きを演じることがあります。

高金利というだけで預金すると為替差損によって損失が出る可能性も否定できません。お勧めできないとまでは言えませんが、リスクについては念頭に置いておきましょう。